2007年06月27日
掲載紙:日本経済新聞
RoHS、REACH規制に対応する、川上から川中・川下企業まで
一貫したサプライチェーン間の効率的な環境・化学物質情報の管理・伝達を実現
eBASE(イーベース)株式会社(以下、eBASE社、本社大阪市北区 代表取締役社長 常包浩司)は、富士ゼロックス株式会社(以下、FX、本社:東京都港区、代表取締役社長 有馬利男)、NECソフトウエア中部(以下、CNES、本社:愛知県日進市 代表取締役社長:江尻良範)と電気・電子機器・自動車部品(以下、アーティクル)や化学原材料・調剤(以下、サブスタンス/プレパレーション)に含まれる化学物質情報をサプライチェーン間で管理・伝達・共通利用できるソフトウエアシリーズ「GREEN eBASE」を共同開発し提供を開始いたしました。
【 背景 】
「商品の安心・安全」を求める消費者の強い要望に応えるためには、すべての企業は自社が生み出す「モノ」に関して人体や環境への影響を少なくする活動に真摯に取り組む必要があります。2002年のヨハネスブルグ環境サミットにて、「2020年までに化学物質の製造・使用がヒトの健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化すること」が合意されました。その後、EU(欧州連合)が2006年7月1日に施行した電気・電子機器への特定有害化学物質の含有を禁止した「RoHS指令」をはじめとして、自動車業界向けの「ELV指令」、日本「J-Moss」、中国、韓国、米国等でも世界規模で「環境商品対策」への取組みが進んでいます。さらに、2007年6月に施行され、2008年には約3万種の化学物質の登録・評価・認可が必要である「REACH規制」がEUではじまります。これら「製品含有化学物質情報の管理、伝達」を実現するには、化学メーカー等の「川上企業」から部品・材料メーカーの「川中企業」、そして組立て製品メーカーの「川下企業」、それら製品を末端消費者へ販売する「流通企業」までのサプライチェーン間で一貫した情報管理と伝達を行う必要があります。
【 現状の課題 】
電気・電子機器のアーティクル製品は、多くの部品と、その部品に含まれる様々な材料(材質)、さらにその材料(材質)に含まれる多種のサブスタンス/プレパレーションの化学物質(群)から構成されています。RoHS指令やREACH規制では、川下企業であるアーティクル製造メーカーに最終製品の化学物質含有量を正確に管理報告する義務を課しています。アーティクル製造メーカーは、自社において部品管理を行い、製造図面を用いて製品設計や生産をおこなっていますが、それらの部品は多数(数百~数千)の川中企業群(材料・部品メーカー)から調達しています。又、それら材料・部品メーカーも川上企業群(化学メーカー)から化学物質・原材料(サブスタンス/プレパレーション)を調達して材料や部品を製造しています。結果的に製品に含まれる化学物質情報は川上企業から川下企業までのサプライチェーン間を正確、迅速、かつ、経済的に管理・伝達する必要があります。しかし調達部品の構成材料(材質)の管理や化学物質の含有量管理に関しては各アーティクル製造メーカでは独自の取り組みが多く効率的で信頼できる情報サプライチェーン(収集・構築・提供)とはなっていません。各アーティクル製造メーカーの独自仕様の調査フォーマット(紙媒体やエクセル帳票等)が氾濫する状況下では、アーティクル製造メーカー自身の情報精度、情報鮮度、管理コストが悪化するだけでは無く、情報を提供する側のサプライヤ企業の対応負荷を指数関数的に増大させています。そして2008年6月以降にREACH規制が本格実施されると、約3万物質の指定化学物質の使用を担保し、一定量以上の移動に関して申請・認可が行われなければ製品を販売、輸出できなくなります。このREACH規制に対応するには、川下企業であるアーティクル製造メーカーだけでは無く、川上企業のサブスタンス/プレパレーション(化学製造メーカー)を含めた業界全体のサプライチェーンで効率的な情報管理・伝達の仕組みが必要になります。 現在、業界においてはJAMPなどの協議会において標準的な管理ガイドラインの策定を進めてはいますが、そのルールを円滑に運用するためには川上企業、川中企業、川下企業における企業規模や各々の製造プロセスに適合した情報管理データベースとそれらの情報をサプライチェーン間でシームレスに配信・収集する情報管理・流通のITインフラの確立が早期に望まれています。
【 GREEN eBASEの解決策 】
このたび、eBASE社は食品業界において「食の安心・安全」を実現する「FOODS eBASE(品質管理)」のサプライチェーン(約13,000ユーザー/2007.5現在)で実現した商品情報交換ソリューションの高い実績をベースに、食品業界と同様の課題を持つ電気・電子機器・自動車部品分野の「商品の安心・安全」を目指す「環境・化学物資情報管理システム:GREEN eBASE」をFX、CNESと共同開発いたしました。
CNESは今まで食品業界を中心にした幅広いシステムインテグレーション実績と、グリーン調達における川上企業である化学製品メーカー向け製造システムソリューションの構築ノウハウから「化学物質・製品情報管理システム:eB-chemical(イービーケミカル)」をeBASE社と共同開発いたしました。 又、FXは自社が川下企業であるアーティクル製造メーカーの立場で蓄積したグリーン調達ノウハウの提供と、自社の主力製品であるデジタル複合機ApeosPortシリーズによるグリーン調達で必要な各種証明書類(エビデンス)管理の入出力ソリューションを駆使する事により、グリーン調達向けの「グリーン調達管理システム:eB-green(イービーグリーン)」をeBASE社と共同開発致しました。 又、eBASE社は環境省管轄のGPN-DB(グリーン購入ネットワーク)向けの登録用端末として2004年から採用された実績をもとに、環境製品情報に関わる最終製品メーカーのCSR部門向け「eB-forGPN(イービーフォージーピーエヌ)」を開発致しました。これにより、サプライチェーンの川上企業から川下企業まで一貫して商品・製品の環境情報(化学物質)を収集・管理・提供できるトータルソリューション「GREEN eBASE」としてRoHS指令やREACH規制におけるサプライチェーンの課題解決を目指します。
【 GREEN eBASE 概要・特徴・ライセンス価格 】
(スタンドアロン版ライセンス費用、年間保守費別途用、詳細はパンフレットor 弊社HPを参照)
以下記述のライセンス価格は標準セットを販売した場合のおおよその価格です。別途ハード・ミドルウエア、システムインテグレーション、費用などがかかります
(1) eB-chemical:化学製品情報データベースシステム(400万円) ※CNESと共同開発
ペレット、添加剤、ペイント等の原材料・化学メーカーの製品における原単位情報(原材料の配合比)と組成情報(化学物質の組成比)、双方を一元管理出来る製品情報管理データベースシステムです。
(2) eB-green:グリーン調達システム(400万円) ※FXと共同開発
プラスチック製品、包装材料、自動車、電気電子機器等のアーティクル部品・製品メーカーの含有化学物質管理をサプライチェーンで一貫して実現するグリーン調達管理データベースシステムです。
※英語版、中国語版の「多言語版GREEN eBASE」は別途ライセンス体系でご提供いたします。
MSDS plus、AISはJAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)で策定中の化学物質管理フォーマットです。規格化後にバージョンアップで対応予定です。 eBASE社はJAMPの会員です。
(3) eB-forGPN:グリーン購入対応商品情報データベース(300万円)
消費者へ最終製品を提供するメーカー企業において、グリーン購入法に基づいた環境商品の各種環境情報をCSR観点で整理し、一元管理を実現する環境商品情報管理データベースシステムです。
※グリーン購入法、GPN-DBの規定や仕様は変更されます。eB-forGPNではそれら公開仕様データの構築を可能とするバージョンアップを適時行う計画です。
【 販売目標 】
大手バイヤー企業2社、サプライヤ企業30社程度で初年度1億円、3年間で5億円の販売を目指します。
【 今後の展開 】
JAMPで規格化が進んでいるMSDS plusやAISフォーマットへの早期対応や、各種国内外の法規制への随時対応をバージョンアップで計画しています。「GREEN eBASE」の導入企業はeBASEのフレキシブルなデータベース構造と他システムとの連携機能を用いてさらに積極的に情報開示や新たなアプリケーション展開が可能です。それら周辺アプリケーション提案を含めて、FX、NECソフトウェア中部の強みを生かした営業チャネルをベースに川上企業、川中企業、川下企業までサプライチェーン全体に適切なソリューションを継続して提供していきます。
【 GREEN eBASE画面例 】
■ eB-chemicalの原単位情報管理画面例
■ eB-greenの化学物質情報管理画面例
■ eB-forGPNの環境商品情報入力画面例
【 注釈 】
(1)サブスタンス(Substance)
単一の化学物質:元素および化合物で天然に存在し、または生産工程から得られるもの。
(2)プレパレーション(Preparation)
混合物:2種またはそれ以上の単一の化学物質から構成される混合状態のもの(溶剤含む)
(3)アーティクル(Article) 成形品:「製品」、「商品」、「化学物質又は混合物からなる物体」、(液体・粒状は除く)
(4)WEEE指令とRoHS指令(特定有害物質使用禁止指令)
WEEE:Waste Electrical and Electronic Equipment
RoHS:Restriction of the Use of CertainHazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment
環境先進国の欧州では、一国のみならず欧州連合(EU)で共通の規制を「欧州指令」として発効している。 WEEEとRoHSはEUの新しい環境規制である。WEEEは「ウィー」と読み、廃電気・電子機器リサイクル指令、RoHSは「ロース」と読み、電子・電気機器に含まれる特定有害物質の使用制限指令のことである。2003年3月に制定・公布され、2006年7月から電化製品をヨーロッパに輸出する際には,製品中に含まれる有害金属・有害物質(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB-ポリ臭化ビフェニルなど)を含むことが禁止された。また、使用済み自動車に関する欧州議会および理事指令(ELV)でも、2003年夏以降自動車使用部品中の有害金属を規定濃度以下とする規制がはじまっている。 廃棄物に関連した製造物責任を強化したWEE・RoHS指令により、国内の電気・電子機器製造者は、ヨーロッパ市場に投入 する製品の廃棄物処理費用を負担することが義務づけられることになり、将来国際標準に発展する可能性も見越した対応を急いでいる。
(5)REACH規制(欧州における新たな化学品規制)
Registration,Evaluation and Authorization of Chemicals
REACH (リーチ)は、市場に流通する化学物質を、登録・評価・認可という3段階に分けて規制することによって、リスク管理が必要な化学物質とその使用方法についての制限を設けるものだ。REACHの中で、特筆すべき点は以下の通り。1物質1登録制:化学物質を製造・輸入しようとする企業は、その物質1つにつき、危険度についての書類一式を提出する必要がある。しかし、機密であることを証明できるか、書類作成料が過度に高くなる場合はこの限りではない。
(6)GHS
2003年7月に「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」(The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals:GHS)が国連勧告として出された。GHS は化学品の危険有害性を一定の基準に従って分類し、絵表示等を用いて分かりやすく表示し、その結果をラベルやMSDS(Material Safety Data Sheet:化学物質等安全データシート)に反映させ、災害防止及び人の健康や環境の保護に役立てようとするもの。日本でも1400余りの化学物質のGHS分類が公表されることになっている。
(7)グリーン調達に関わる日本国内の重要法律(製品製造の事業者責任)
(1)労働安全衛生法(2000 年4 月) 厚生労働省 MSDS制度
(2)化学物質管理促進法(2001年1月) 環境省/経済産業省 PRTR制度/MSDS制度
(3)毒劇物取締法(2001年1月) 厚生労働省 MSDS制度
上記3法案により「MSDS制度」と「PRTR制度」が国内で製造事業者に義務付けられた。
※PRTR:Pollutant Release and Transfer Register(環境汚染物質排出移動登録)の略 第一物質354種、第二種81種の所轄地区官庁への環境汚染物質排出移動登録制度
※MSDS:Material Safety Data Sheet(化学物質安全性データシート)の略 15物質、化学物質安全性データシートの化学材料製品への提出義務制度
(8)グリーン購入に関わる日本国内の重要法律(製品購入者の責任)
1.グリーン購入法(2001年1月) 環境省 グリーン購入/GPN(Green Purchasing Network)
(9)J-Moss(日本版RoHS)
経済産業省で資源有効利用促進法の見直しが行われ、2006年3月に政令改正、4月に省令改正が行われた改正政省令によって、7品目(1.パーソナルコンピュータ、2.ユニット形エアコンディショナ、3.テレビ受像機、4.電気冷蔵庫、5.電気洗濯機、6.電子レンジ、7.衣類乾燥機)にRoHS指令と同じ6物質の含有がある場合は、J-Moss含有マーク(オレンジ色)を表示することが義務付けられた(施行は2006年7月1日)。表示に際しては、表示方法を定めたJIS規格(JIS C 0950)を順守する必要がある。
(10)JGPSSI/JGPフォーマット
(社)電子情報技術産業界(JEITA"ジェイタ")の配下団体である「グリーン調達調査共通化協議会」 (Japan Green Procurement Survey Standization Initiative:JGPSSI)によって化学物質管理ガイドラインや伝達フォーマット、システム等を提言している。グローバルでは、「米国電子工業会(EIA)」、「欧州情報通信技術製造者協会(EICTA:"エイクタ")」とも連携し、実質上グローバル標準として「2005年5月」に、 ジョイント・インダストリー・ガイドライン(JIG):「Joint industry guide (JIG) for Material Composition Declaration for Electronic Products」として制定された。RoHS規制対象の6物質を含む24種類の規制化学物質を管理する手法とフォーマット。
(11)JAMP(ジャンプ)
アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP:Japan Article Management Promotion-consortium)
REACH規制に対応した管理ガイドラインの作成に業界全体の課題として取り組む産業環境管理協会 配下の協議会。サブスタンス/プレパレーション企業向けの情報伝達ツールとして「MSDS plus」、アーティクル企業向けの情報伝達ツールとして「AIS(Article Information Sheet)」を2007年度中に策定・公開する計画である。
【 eBASE 株式会社の概要 】
eBASE 株式会社は商品情報に関わるデータベースソリューションパッケージソフトであるeBASEjr.、eBASEstd.、SmalleBASEserver、eBASEserver等の幅広いラインナップにより、生産者・原材料メーカー、加工メーカー、卸会社、小売会社の業態や規模にフィットしたソリューションを提供することが可能な商品情報交換データベース分野のエキスパート企業です。 eBASE の各種パッケージソフトウェアはシームレスに連携やアップグレードが可能です。商品情報に関わる様々な業務アプリケーションとの連携を高いコストパフォーマンスで実現します。eBASE 社は様々な業界(食品、住宅、文具、工具、家電、環境等)で培った商品情報交換ソリューションノウハウを「全体最適」の視線で継続します。
会社名 | eBASE 株式会社 |
本社所在地 | 〒531-0072 大阪市北区豊崎5 丁目4-9 商業第二ビル2階(受付:10階) |
TEL | 06-6486-3955(代表) |
FAX | 06-6486-3956 |
代表者 | 代表取締役社長 常包 浩司(つねかね こうじ) |
設立 | 2001年10月1日 |
事業概要 | 商品情報交換データベースソフト「 eBASE シリーズ 」の企画開発・販売・保守 |
資本金 | 179,601,500 円 ( 2007 年6月現在 ) |
決算期 | 3月末日 年一回 |
【 本件に関するお問い合わせ先 】
eBASE株式会社 市場開発部 上野(うえの)
TEL:06-6486-3339 FAX: 06-6486-3956
E-mail:ueno@ebase.co.jp
URL:http://www.ebase.co.jp
GREEN eBASE開発・販売開始のニュースリリース(2007年6月27日付)に対して、富士ゼロックス株式会社様、NECソフトウェア中部様より、以下のエンドースメントをいただいています。
■富士ゼロックス株式会社様からのエンドースメント
富士ゼロックス株式会社は、eBASE株式会社の「GREEN eBASE」の開発・販売開始に歓迎の意向を表明いたします。「食の安心安全」の品質情報管理において高い実績を誇り、商品情報交換データベースソリューションに精通したeBASE株式会社が新たに環境分野(グリーン調達)における「アーティクル製品の含有化学物質情報管理」を実現するデータベースパッケージソフトを弊社と共同開発し、提供をはじめたことは業界の大きな課題解決への有効な施策になることと期待しております。本製品の中核を成す「eB-green」は、家電・情報機器分野のサプライチェーンにおいて欧州のRoHS規制やREACH規制までを睨んだ正確で迅速な「含有化学物質管理」が実現可能です。「GREEN eBASE」は富士ゼロックスが提供する豊富なドキュメントソリューションと連携する事でより高精度で効率的な情報管理を可能とします。「GREEN eBASE」がeBASEシリーズに加わることにより、グローバルにグリーン調達やCSR調達を目指す企業に適応したト-タルソリューションを安価に短期間で構築することが可能になります。そして富士ゼロックスの複合機ApeosPortとの組み合わせが今後のサプライチェーンにおいてますます重要となる「エビデンス(証憑)管理」に対する強力な解決策になるものと確信しております。各種分析・測定書類、検査書、許可書、認定書類等の数値情報の担保書類や、法律に起因する様々な証明書類に適応したト-タルドキュメントソリューションは、今後その必要性を増すと予想されます。今後も弊社は、各種業界のサプライチェーンにおけるドキュメントソリューション管理においてeBASE株式会社との協業体制をより一層強化していきます。
富士ゼロックス株式会社
トレーサビリティ プロジェクト
ジェネラルマネージャー 森田 鎮光
■ NECソフトウェア中部様からのエンドースメント
NECソフトウェア中部はeBASE株式会社の「GREEN eBASE」の開発・販売開始を心より歓迎いたします。
NECソフトウェア中部は「GREEN eBASE」における化学原材料・調剤分野の化学製造企業向け製品情報データべースシステム「eB-chemical」をeBASE社と共同開発いたしました。弊社の化学製造企業向けのシステムインテグレーション実績を通じて蓄積した原材料や配合・生産管理、組成情報提供(MSDS等)のソリューションノウハウと、eBASE社の製品情報管理データベース技術を効果的に融合する事で、後工程企業の情報活用まで睨んだトータルな化学物質情報をサプライチェーンに提供できるものと確信しております。 今後、弊社は、化学製造企業へのeB-chemicalの販売を中心に統合的なシステム構築サービスに注力してまいります。
NECソフトウェア中部
代表取締役社長 江尻 良範